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【日本】プロダクト・バイ・プロセス・クレームに関する最高裁判決(続報)~特許庁が審査基準の改訂検討を開始

2015年6月10日、特許庁はプロダクト・バイ・プロセス・クレーム(PBPクレーム)に関する最高裁判決を受けて記載要件に関する審査基準の改訂について検討を開始すると発表しました(http://www.jpo.go.jp/torikumi/t_torikumi/product_process_C.htm)。

現行の特許庁審査基準では特許法36条6項2号の適用に関する記述の中にPBPクレームの取扱いが記載されています(特許庁審査基準第I部第1章2.2.2.4(2)参照)。そこでは一定の条件(不可能、困難、あるいは何らかの意味で不適切)で製法により物自体を特定できることや発明が不明確になる類型が記載されています。

今回の判決で最高裁は、PBPクレームが明確性要件を満たしているといえるのは「出願時において当該物をその構造又は特性により直接特定することが不可能であるか、又はおよそ実際的でないという事情が存在するとき」に限られると述べています。これは現行審査基準の取扱いとは異なるところがあり、最高裁の判示に従ってPBPクレームに関する36条6項2号の取扱いが変わる可能性が高いと考えられます。このため、これからPBPクレームで出願する場合や審査を受ける場合には注意が必要です。

特許庁によると7月上旬を目処に検討結果を公表するとのことです。また、PBPクレームについては7月上旬頃までは当面の間、審査を中断するとのことです。審査基準を改訂することになった場合には中断期間が長引く可能性もあります。PBPクレームが記載されている出願は審査が遅延する可能性があることから、PBPクレームを含む早期審査案件は注意が必要です。

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