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【韓国】特許法改正(2017年3月1日施行)

韓国特許法が改正されます。主な改正点は以下となります。この改正特許法は、2017年3月1日から施行されます。

1.特許出願に関する審査請求期間の短縮(韓国特許法59条)

審査請求期間が、「出願日から5年」が「出願日から3年」に短縮されます。この規定は、2017年3月1日以後の出願(国際出願の場合は、2017年3月1日以降の国際出願)に適用されます。

2.特許取消申請制度の導入(韓国特許法132条の2~第132条の15)

何人も特許権の設定登録日から登録公告日以後6月以内に、特許取消申請をすることができる特許取消申請制度が導入されます。ただし、申請理由は、新規性違反、進歩性違反、先後願違反に限られます。この規定は、2017年3月1日以後に設定登録された特許権に適用されます。

3.審査官の職権による再審査制度の導入(韓国特許法第66条の3)

特許決定後の設定登録前までに明白な拒絶理由が見つかった場合、職権により特許決定が取消され、再度審査されます。この規定は、2017年3月1日以後に特許決定される特許出願に適用されます。

4.審査官の職権による補正範囲の拡大(韓国特許法第66条の2)

これまでは拒絶理由でない単純な誤記である場合に限り、職権により補正が可能でしたが、2017年3月1日以後は、拒絶理由に該当する記載不備に対しても審査官の職権による補正が可能である一方、出願人がその職権補正を受け入れない場合は、特許決定もともに取消されたものとみなされます。

5.外国審査結果提出命令制度の導入(韓国特許法第63条の3)

第1国出願に基づいたパリ条約優先権主張出願の審査時に、審査官が第1国の審査結果等を提出するように命じることができるようになります。この規定は、2017年3月1日以前に出願した優先権主張に伴う特許出願にも適用されます。

6.正当な権利者保護の拡大(韓国特許法第35条および第99条の2)

これまでは、無権利者が特許を受けた場合、特許の無効審決確定後、30日以内かつ無権利者の特許権の登録公告から2年以内に正当な権利者が別途に特許出願をすることによって救済を受けることができましたが、2017年3月1日以後に登録された無権利者の特許権に対しては、たとえ無権利者の特許権の登録公告から2年が経過していたとしても、正当な権利者は、無権利者の特許権の無効審決確定後、30日以内に別途に特許出願をしなくとも無権利者の特許権の移転を法院に直接、請求できるようになります。

7.訴訟当事者の手続き中止申請権の導入(特許法第164条第2項)

これまでは法院のみが職権で訴訟手続きを中止できるように規定されていましたが、2017年3月1日以後は、法院の職権だけでなく当事者の申請によっても特許に関する審決が確定する時まで訴訟手続きを中止できるようになります。

記事担当:弁理士 榎 保孝

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